『志乃ちゃんは自分の名前が言えない(漫画)』のあらすじ・感想(ネタバレ含む)

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『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のあらすじ(ネタバレ含む)


作者の押見修造が、自身の学生時代の体験を漫画化した作品。もともとウェブマガジンに連載されたもので、一冊完結の中編です。

コミックスのあとがきに書かれていますが、押見さんは中学2年生ころから「吃音症」となりました。最初は言葉が出てこないことがおフザケだと思われ、友だちに笑われる程度でしたが、徐々に電話などでの会話ができなくなり、生活全般に不都合が生じてきます。

その実体験を大島志乃という女子高生に託してストーリー化。大きな反響を得ました。

2018年の映画化では、原作と同じ16歳の新人・南沙良が抜擢され、大島志乃役を演じています。そして岡崎加代役には「海よりもまだ深く」「三度目の殺人」「万引き家族」など、是枝裕和監督作品の常連である蒔田彩珠がキャスティング。

監督の湯浅弘章はこれが第一回作品といいますから、新人らしいフレッシュな映画が期待できそうです。

吃音症の少女・大島志乃

古ぼけた狭い和室。そこに据えられた勉強机に向かって、若い女の子がブツブツと「はじめまして…おおしましのです…よろしくおねがいします」とつぶやいています。明日は高校の入学式。彼女、大島志乃はクラスでの自己紹介の練習をしているのでした。

翌日になり、入学式が行われた後、全員が教室へ。担任教師の小川悦子がやってくると、早速自己紹介の時間になります。志乃は異常な緊張を示しながら自分の番を待ちます。小川先生から「はい、次」と言われて立ち上がった志乃。

口を開きますが、言葉が出てきません。「どうしたの、自己紹介して?」と促されて、「おっ、おっ」と名前の最初だけは口にするものの、それを延々と繰り返すだけです。

その滑稽さに思わず笑い出すクラスメイトたち。志乃はあわてて「すみません、志乃・大島です。苗字からじゃなく、名前からなら発音できるんです」と言いますが、さらに笑いを誘うだけでした。

授業も始まり、徐々に全員が学校に慣れてきます。しかし、志乃は緊張が抜けません。先生に質問されると答えを知っていても口ごもり、「…すいません。パスして下さい」とふざけて誤魔化します。

小川先生はさすがにそんな志乃の様子がおかしいと気付き、ある日職員室に呼び出します。

加代と知り合って孤独から抜け出す

先生から「リラックスして。自分の名前くらい言えるようになろう」と励まされる志乃ですが、そう簡単になめらかに喋ることはできません。

男子生徒から「おっ、おっ」と真似されたり、不良っぽい女子生徒から冷たい態度を取られたり、言葉が出てこないことで孤独な立場に追いやられます。友だちもできず、お昼の休み時間になっても誰も声をかけてきません。

仕方なく志乃は弁当を持って校舎の裏側へ。そこでひとりで食事をしながら、架空の友だちとの会話を楽しみます。

その日も同じ場所で弁当を食べている時、誰かが近づいてくる気配がしました。姿を隠してのぞいてみると、いつか冷たい態度を取られた不良っぽい女子生徒・岡崎加代です。

音を立てたことで彼女に見つけられますが、相変わらず喋れないのでコミュニケーションできません。「話せないなら紙に書けばいいじゃん」とメモを手渡される志乃。

これをキッカケに志乃は加代と友だちになり、彼女に自分の”病状”を打ち明けることに。志乃は母音から始まる言葉が言えません。そのため、まともに喋ることができず、自分の苗字の「大島」すら口に出せないのです。

やがて志乃は加代の家に遊びに行きます。ギターがあるのを見て歌をせがみますが、加代は実はものすごい音痴でした。それを笑ったことで2人の仲は一旦壊れかけます。

しかし志乃が歌だとなめらかに唄えることが分かり、加代がギター担当、志乃が歌担当のデュオを組むことになります。

やっと”自己紹介”ができるように

「しのかよ」というグループ名も決まり、文化祭に向けて練習を重なる2人。やがて2人が駅前で路上ライブをやっているのを見た菊池という男子もグループに参加します。

しかし、音楽好きの加代と菊池は2人だけで話しをすることが多くなり、志乃は再び孤独を覚えることに。それが精神的なストレスとなり、歌うこともできなくなります。

辛くなって加代と菊池から離れる志乃。夏休みに入っても志乃はひとりきりです。気分転換に外出した時、久しぶりに菊池と出会い、無理やりモールへ連れて行かれます。

菊池から「加代が志乃に歌詞を書いてほしいって」と言われ、おまけに告白までされますが、孤独に蝕まれた志乃は素直に受け取ることができず、そのまま立ち去ります。

やがて文化祭当日、体育館でバンドコンテストが催されます。こっそり館内に入り、その様子を眺める志乃。いよいよ、しのかよの登場ですが、なぜか菊池はおらず、加代がひとりでステージに。

彼女は自作の歌を唄いますが、あまりの下手さに観客の生徒たちは笑いだします。

加代がステージを降りた後、それまで黙っていた志乃が突然叫びを上げます。「私は自分の名前が言えない!どうして!どうして!くやしい!」そして、それまで胸の中に秘めていた思いを吐き出した後、「私は大島志乃」と初めて自分の名前を口にするのです。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の感想


純文学の小説では自伝的な作品というのは珍しくもありませんが、エンターテインメントを身上とする漫画では大変貴重です。それも「吃音症」という特殊なハンディキャップを取り上げた点で、さらに稀少価値があるといえます。

ハンディキャップのある人々を扱った漫画では『遥かなる甲子園』『わが指のオーケストラ』などの山本おさむ作品が有名ですが、この『志乃ちゃんは…』は作者自身の体験が活かされているせいか、ささやかでありながら奥深い作品になっていて、一種の学園モノとしても読めるのが特徴。

吃音症とは無縁な人でも思い入れができ、短いということもあって完成度は相当なものです。ウェブマガジンに連載当時から評判になったのも当然と言えるでしょう。

作者のあとがきも重要

この『志乃ちゃんは…』では、作品と同時に作者のあとがきも重要。押見さんが吃音症の発症によってどのような苦境に陥ったかが簡潔に書かれています。

特に困ったのは電話するとき、自己紹介を求められたとき、授業中指さされたときなどで、具体的に作品中に活かされていますから、どれだけ大変なのかは読んでいるうちに体感できます。

押見さんの説明によると、吃音には「連発型」と「難発型」があるそうで、押見さんやヒロインの志乃は「難発型」。

つまり最初の音が出てこず、ずっと無言になってしまうものです(もう一方の「連発型」は画家の山下清のように「ぼぼぼぼくは…」と最初の音が連続してしまうタイプ)。実は押見さんは今でも吃音が治っていないそうで、電話での自己紹介などでは「胸が恐怖に満たされます」と書かれています。

現在でも抱えているその不安がこの作品に見事に描かれていて、読んでいて志乃という少女に同情を寄せざるを得ません。

特に後半になって加代と別れて再び孤独となり、いじけた心情となる辺りは、思春期の少女の気持ちを正確に捉えていると思います。

安易に志乃と加代を仲直りさせず、そのまま話を終わらせてしまうのも、巧みなストーリーテリングだと感心させられます。

吃音というモチーフ

吃音をモチーフにした小説には小島信夫の短編「吃音学院」があって、これは芥川賞候補になった名作です。これは吃音を矯正する施設に入れられた作者自身の体験に基づくもので、吃音というハンディキャップによって生じる人間心理を見事に描いています。

また、アカデミー作品賞を獲得した『英国王のスピーチ』も吃音に関わる映画として逸すべからざる名作。

これらの作品同様、『志乃ちゃんは…』では別に吃音という症状を科学的に描いているわけではありません。そのことによって本来健全であるべき人間の心理がいかに歪められるか、その様を描いているわけです。

作者の押見さんも書かれていますが、言葉が出てこないことで「自分は駄目だ」「相手に申し訳ない」などの感情が蓄積し、罪悪感、敗北感が常に心に巣食うようになります。

喋れないこともあって内向的になり、人生そのものを暗澹たる見方でしか考えられなくなってしまう…。

五体は健全、思考能力も何も問題がないのに、ただ言葉が出にくいということだけでそんな心境に陥ってしまうという不条理は、大きくいえば人間という存在に関わってくる大テーマともいえます。

それがむき出しに現れていることで、この作品も吃音というモチーフを越えて、広く共感を得ることになったのでしょう。

とにかく誰にでも一読を勧めたい作品です。

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